アクティブ・イマジネーション

『人の心がつくりだすもの』(著:河合隼雄)を読了。
 この本では、日本における臨床心理学の第一人者である河合隼雄氏が、様々なジャンルで活躍する方々と対談をし、心の見方を語っておられます。
 この本で河合氏が対談をした相手は、以下の人々になります(敬称略)。
・藤森照信(建築家)
・南伸坊(イラストライター)
・玉木正之(スポーツライター)
・森村泰昌(美術家)
・宮田まゆみ(東洋の伝統楽器「笙」の演奏家)
・今江祥智(児童文学作家)
 それぞれ、その道で活躍する人々ばかりです。
 そんな豪華な顔ぶれと、河合氏が対談を行います。対談の根底には「心とは何か?」というテーマが存在します。
 河合氏が対談した六名は、いずれも一流の創作者たちです。
 そういった人々が、心というテーマで話し合う。これが創作の役に立たないわけがない!

 というわけで、じっくりと読ませてもらいました。
 私が、この本を読んでいて身につまされたのが自分の中のイメージとの付き合い方です。
 どれだけ豊かなイメージが湧くかは、創作をする上では死活問題になってきます。イメージが貧困なのに良い作品が生まれるわけがありません。
 そして、イメージというものは人の心がつくりだすものです。自分のイメージを形にする創作においては、心とどう付き合うかは作品のクオリティに関わってくるといっても過言ではありません。
 この本に出てきた言葉で、特に私の印象的だったものが『アクティブ・イマジネーション』という概念です。
 アクティブ・イマジネーションについて、河合氏は本の中でこう述べています。

(対談者の「夢には作為は入りようがないでしょう。」という問いに対して)ところが、練習していると、見たい夢を見るところまでいきませんが、夢と作為との半々みたいなのを見ることができるようになる人もいます。アクティブ・イマジネーションといっているんですけどね。(P.29)

 さらに河合氏はイマジネーションの違いにおけるアクティブ(能動的)とパッシブ(受動的)の違いをこう説明しています。

 普通はパッシブ(受動的)でしょう。その場合、単なる自分の願望が出てくる。「一億円当たればいいのにな」とか、それがパッシブなイマジネーション。(P.29)

 これは創作に関するヒントになる言葉です。私も文章を書いていて「登場人物がこんな風に動けばいいのに」と思ったりします。でも、これって上の例で言えば、まだまだパッシブな段階のイマジネーションなんですね。
 創作(特に物語作り)でよくある表現として「登場人物が勝手に動き出した」というものがあります。そういう場合、作者は得てしてイメージの中で登場人物との対話が出来ているのだと思います。これが創作におけるアクティブ・イマジネーションなのではないかと私は思うわけです。
 河合氏も、文章についてこのような言及をしています。

 作中人物が自由に動かなければ、いい作品じゃないですよ。作者が思ったとおりを書いたっておもしろくない。そこに無意識な部分が出てくるところがおもしろいんです。(P30)

 創作においては無意識の領域にこそカギがある。
 ただし、無意識を無意識のままで放置していては作品にはなりません。ある程度は意識的な部分も介在させる必要がある。無意識と意識という両輪がそろって、初めて良い作品が生まれるのでしょうね。

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