題材探しとドラッカー

 どんな題材を選ぶかって、物語のウケるウケないの分かれ目になりますよね。
 ここでいう題材ってのはあれです。例えば「主人公が執事」とか「ヒロインが猫耳」とか、そういう割とわかりやすいものをいいます。
 だから、「生きるとは何だ?」とか「真の愛とはどこにあるのか?」とか、そんな哲学的を想像しないでもいいです。
 というか、そういう話をしたところで結論は出ませんし。だってそれ、ソクラテスやプラトンの時代から人類が悶々と悩んで答えが出せなかったものですから。

 物語を描く上で、題材探しは最初の関門です。誰も興味を持ってくれない題材を中心に据えて物語を描いても不毛なだけ。
 だったら、どうすれば魅力的な題材を掘り起こせるか。
 この問題に効く本が、今回紹介するP.F.ドラッカー著「マネジメン」です。
 ちょっと前に話題になった「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(著:岩崎夏海)の元ネタになった本と言えば、ピンと来る人も多いでしょう。
 今回私が読んだのはダイヤモンド社から出ているエッセンシャル版(要は短くまとめたヴァージョン)になります。

 この本のどこに、題材探しのヒントがあるかというと、第1章の最初の方に書いてあります。
 ここには「企業ってそもそも何?」みたいなことが説かれています。要約すると企業ってのは顧客の創造だという旨が語られているんですが、その方法にマーケティングとイノベーションという概念があるんですよ。
 マーケティングというのは、顧客の欲求をしっかりとキャッチして、それに答えていくことです。
 一方でイノベーションとは、新しい価値を作って提供することを意味します。
 これって、そのまんま題材探しに応用できるはずです。

 極端な話、物語作りの目的って顧客(つまり読者)を満足させたり、感動させることです。
 そのための題材選びはマーケティングかイノベーションに大別されるんです。
 例えば、巷で執事が出てくるマンガやドラマが流行っていたとします。それを元にして「だったら題材を執事にすればウケるんじゃね?」と類推していく。つまり、「流行っているということみんなが求めているはずだ」と需要予測をする。これは広い意味ではマーケティングといえるでしょう。

 でも、執事物が流行っているということは、そもそも最初に執事物を書いて流行らせた人がいるはずですよね? この場合、最初に執事物を書いて流行らせた人はイノベーションをやってのけたといえます。それまで巷になかった執事物という新しい価値を作り上げたわけですから。

 マーケティングとイノベーション。どちらが優れた手法だとは一概には言えません。
マーケティングはヘタをすれば浅はかな劣化コピーの量産になりかねませんし、イノベーションは狙いが外れれば大コケすることになる。
 この2つの概念は、そういったリスクを加味した上で使っていくのがいいと思います。
 物事には良い面があれば悪い面もあるのは真理ですし。
 とはいえ、これから物語をつくる人は頭の片隅にとどめておいて損はないでしょう。何の方策もないまま題材探しをするのは、道具やデータを全く持たないで井戸を掘るようなものです。それは無謀だし不毛です。
 題材探しは計画的に!
 いや、本当にこれって大事ですよ? 渾身の気合で書いた話が空振ったときの寂しさはやりきれませんからね(苦笑)

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