ラノベ読書録/ストライク・ザ・ブラッド6

 いつも近くにいる人間の大切さ。普段はそれに気づかないものかもしれませんが、距離をとってみると気づくこともあるでしょう。
『ストライク・ザ・ブラッド6 錬金術師の帰還』はそんな話です。
 あらすじを抜粋すると以下の通りです。

「中等部の修学旅行で本土に行くことになった雪菜たち。その間、彼女の監視から解放されると知って喜ぶ古城と複雑な雪菜。そんな古城たちの前に現れたのは、天塚汞と名乗る錬金術師だった。封印された錬金術の至宝―液体金属生命体“賢者の霊血”を復活させるため、“魔族特区”各地で襲撃を繰り返す天塚。そして“賢者の霊血”の暴走に巻きこまれた浅葱を待ち受ける悲劇とは…!?世界最強の吸血鬼が、常夏の人工島で繰り広げる学園アクションファンタジー、待望の第六弾。」

 今回も、ラノベ以外の何物でもない風合いです。
 最初の一文からお分かりいただけるように、今回、ヒロインの姫柊雪菜は中等部の行事で本シリーズのメインの舞台である人工島を離れることになります。一方で主人公の暁古城は高等部の生徒ですので島に残ります。
 一部では古城の国家公認ストーカーと揶揄される雪菜が、彼のもとから離れるわけです。
 しかも、監視任務から外れるとあれば、雪菜の武器である槍・雪霞狼は一時封印です。
 これで彼女の身に何かあったら一大事ですが、その一大事が起きてしまうのが物語のテッパン。あまり詳しく書くとネタバレが過ぎるので、ここでは、てんやわんや色々起きるとだけ言っておきましょう。
 今回の話から私が学びたいと思ったのは、登場人物同士の距離感です。
 距離感という言葉には、物理的な意味もありますし、心理的なものもあります。
 距離感を明確にする有効な方法として挙げられるのが、視点の切り替えです。
 特に、小説はマンガやアニメと違って挿絵以外では、視覚的な情報は頭の中でイメージしてみるしかありません。
 視点の切り替えという技法のバランスは、書き手にとっては難しい問題となります。
 あまりに人物間での差異がないと区別がつかずツマラナイ。
 しかし、バラバラに書きすぎると今度はまとまりがなくなってしまう。しかも、神の視点も度が過ぎると登場人物への感情移入が厳しくなる。
 客観と主観の塩加減は難しい問題です。
 そういう意味合いで読み解くと、今回のストライク・ザ・ブラッドは視点の軸がしっかりしていて読みやすく、かつ、退屈にならなかったと思います。
 島に残された主人公と、遠隔地で敵の襲撃を受けたヒロイン。
 離れた場所にいるヒロインをどうにか助けようと奮闘する主人公。物語ではありきたりなものかもしれませんが、それでも読んでいてハラハラする。
 本当にこの作品の筆者は物語のポイントを押さえています。
 私など、最近では一人称で視点が固定されている話ばかり書いているので、そろそろ視点切り替えのトレーニングを行いたいものです。というか、やらんとマズイ(汗)
 情景を文章化するだけでも大変なのに、幾人もの情景を描くとなると頭のメモリの処理能力がついていけるか不安でいっぱいです。まあ、いいお手本と出会えたわけですし地道に努力していく所存です。