働きたいでござる!

『僕たちは就職しなくてもいいのかもしれない』(著:岡田斗司夫)を読了。
 内容もさることながら話の構成が非常に興味深い。
 本書ではまず日本経済は将来的に今までの成長モデルが成り立たないこと予測し、ますます就職が困難になると述べ読み手の不安を煽ります。次に「なぜ就職をしなければならないのか」について論じ、「きついなら就職なんてしなくていいじゃない」と悩める若者への処方箋を提示します。その上で年に12万円を筆者に支払うことによって筆者と一緒に仕事ができる団体があることを紹介します。

 読み終えたとき、私は感服いたしました。
 コマーシャルメッセージのテンプレートとしてまず相手を不安にさせるメッセージを伝え、その救済策を提示するというものがあります。例えば「太ったままでは異性にモテない」というネガティブな意見を伝え、「でも当社が販売しているこのダイエット食品を使えばみるみる痩せることができます!」みたいなものがそれです。
 本書の手法はまさにこの方法を踏襲しているといっていいでしょう。
 この本にはコマーシャルメッセージのエッセンスが詰まっています。それを学べただけでも読んだ価値はあったと思います。

 ……という穿った見方も本書にはあります。
 皮肉たっぷりに書いてみましたが、本当のところは内容自体も興味深く拝読しましたよ?

 例えば筆者の述べる評価経済という概念は、閉塞感あふれる日本に風穴を開けるパワフルさを持っていると思います。
 これまではお金で物やサービスを買っていました。ところがこの本の筆者はお金を介さずに他者とのコミュニケーションの中でそれらを手に入れる方法もあっていいじゃないかと論じるわけです。
 他者とのコミュニケーションはお互いを信頼していなければ成り立ちません。そこで必要になってくるのはいくら現金預金があるかではなく、どれだけ相手から評価されているかという尺度だというのです。

 ざっくりいうと、もしもお金を主体にした経済システムがままならなくなった場合、最後に残るのは人としての魅力であるということです。
 人間の値打ちは3つのCで決まると筆者はいいます。
 このCとは以下の頭文字のことです。
・コンテンツ(Contents):その人が持っている能力
・コミュニティ(Community):どれだけの人とつながっているか
・キャラクター(Character):その人個人の人柄
 私が特に考えさせられたのはコンテンツの部分です。個人が持っている能力には様々なものがあります。何かの資格を持っている、論理的な思考ができる、シンセサイザーのプログラミングができるなどなど。
 しかし、どんなコンテンツを持っていたとしても世界のIT化が進めばそれが大暴落しないとは限らない。だとしたらIT化の波に耐えうるコンテンツとは何なのかを私は考えてしまったわけです。
 んで、最終的に人間が持つ創造性なんじゃないかなというのが私なりの結論です。コンピュータはシステマティックに情報を処理するのは得意ですが、アイデアを出したりすることにおいてはまだ人間には及びません。

 これからの時代に残る仕事とはより人間らしいものだけになっていくのでしょうね。それはアートかもしれないし、相手の感情に寄り添うことかもしれません。あるいは大きなビジョンを抱え人々を鼓舞することだって人が人だからできる芸当です。
 そういう意味では、機械化と自動化が進む時代だから働くのが楽しくなるとも言えるかもしれません。
 人の仕事が人しかできない仕事だけの世界は天国か地獄か? これから先の世界はそれを問われているのでしょうね。少なくとも私は人として働きたいでござる!

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