研究者×勝負師×芸術家

15-02-19-01

「構想力」(著:谷川浩司)を読了しました。
 谷川さんといえば、将棋棋士として有名で、本書では彼の将棋哲学が語られています。
 この本の中で、私が特に着目したのはプロ棋士には研究者と勝負師、そして芸術家の3つの顔が必要であるいう話です。

 将棋というのは、盤面の上で駒を動かして勝敗を決します。よって、勝負師の顔が必要なのは説明なしでわかります。 
 では、残る研究者と芸術家としての顔とは何か?

 現代の将棋では、情報技術が発達したことにより、対戦相手の過去の試合データを調べることが容易になりました。
 そのため、対局に際しては相手の出方を事前に分析しておくことが重要となります。
 つまり客観的なデータに沿って考える力が必要であり、これが研究者としての顔を意味します。

 一方で芸術家としての顔とは、常識や前例にとらわれず、自分自身で発想し、自由に道を切り開いていく態度を指します。

 谷川氏は、研究者、勝負師、芸術家という側面はどれが欠けてもいけないと言います。
 研究者の顔を持たなければ、きちんと道筋を立てて将棋を指せません。
 勝負師の顔がなければ、そもそも勝ちにこだわれなくなります。
 そして、芸術家の顔がなければ、新しい一手をひらめくことができません。

 私はこのことを読んだとき、これらのことは創作活動をする上でも同じであると言えます。
 創作をする上でも研究者、勝負師、芸術家という3つの顔が必要です。また、そのバランスも求められます。

 研究者としての顔が弱すぎると場当たり的な作品になるし、強すぎると頭でっかちなものが生まれてしまいます。
 勝負師としての顔が弱すぎると、人の評価を気にしないあまりに理解しがたい作品になるし、強すぎると成功ばかり追い求めて面白さが損なわれてしまいます。
 芸術家としての顔が弱すぎると、前例踏襲がすぎた作品になりますし、強すぎると人が求めていない需要とはミスマッチなものになってしまいます。

 自分の中の「創作者」を、「研究者」「勝負師」「芸術家」に分けてみたとき、はたして自分のどこに過不足があるかを考えてみるのも、技術向上に必要なことと言えるでしょう。

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