画力向上を目指して11ヶ月でしたこと

 まずはこちらをご覧いただきたい。
15-05-27-01
 左右ともに私が描いたイラストです。それぞれのイラストの上に書かれている日付が完成日(そしてpixivへの投稿日)になります。

 左のイラストが完成したとき、うっかりお遍路に出ようかと考えるほどショックでした。
 どうせイラストを描くならもっと上手いものを描きたい。
 そこで私なりに努力した結果が右のイラストです。

 そう、努力したんです。
 ボーッと待っていても、便利な道具を貸してくれる未来の猫型ロボットはやって来ません。「力が欲しいか!? 力が欲しいのなら……くれてやる!!」とか言ってくる謎の声も聞こえてくるわけがない。
 というわけで、パッと思いつく画力向上への道のりが努力しかなかったわけで……。
 左右のイラストの出来栄えについて評価は鑑賞者によって変わるでしょう。とはいえ、私個人としては大分マシになったかなあという感慨を抱いています。

 今回の記事では、私が画力向上を目指してやったことの中身なんぞを振り返ってみたいなあと思います。
 それが誰かの創作活動のヒントになれば素敵ですが、基本的には個人的な反省会です。それでも「わたしは一向にかまわんッッ」という方は画面を下にスクロールをば。

 やったことは基本的に以下の3つです。

  • 分からないことを洗い出す
  • ノートを取る
  • モチベーションを維持する

分からないことを洗い出す

 世の中には「問題は発見した時点で半分解決したようなものだ」なんて言葉もあります。
 逆に言えば、分からないことが分からないから問題が解けないわけです。
 イラストでいえば、「首から上の描き方が分からない」や「首から下の描き方が分からない」、あるいは「背景の描き方が分からない」とか色々あるでしょう。
 そこでまずは、「自信なく何となく描いていること」を文字で書き出してみます。
 私の場合は、

  • 人体の描き方が分からない
  • 衣類の描き方が分からない
  • 背景の描き方が分からない(パースって何?)
  • 陰影の付け方が分からない

 などがあったわけです。
 大雑把に分からないことリストができたら、それぞれの項目の中で更に何が分からないのかを掘り下げます。
 例えば「人体の描き方が分からない」という項目なら、

  • 頭部の描き方が分からない
  • 目の描き方が分からない
  • 髪の描き方が分からない
  • 全身の描き方が分からない

 などなど。
 このようにして、分からないことリストの項目と増やしていきます。
 こうすることで、何が分からないのかについて一応の目星を付けたわけです。
 図にすると以下のような感じです。ただしこれは最初に私が洗い出した分からないものリストで、最終的なものはもう少し細々としています。
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ノートを取る

 分からないことを洗い出したら、次はそれぞれの項目を各個撃破していきます。つまり「目の描き方が分からない」という項目についてなら、目の構造はどうなっているのかや、表情によってどのように目を描き分けるかなど理解を深めるわけです。
 この際にノートを作ると便利です。
『上達の法則』(著:岡本浩一)という本の中では、何かを上達したい場合にはノートを取るべきだとしています。

 ノートを取る場合、図の他にも言葉で技術の勘所を表現する必要があります。本書によると、人間の記憶には「手続型知識」と「宣言型知識」があるといいます。
 手続き的記憶とは、ざっくりいえば身体で覚える事柄をいいます。野球のバットの振り方やビリヤードで球を突くコツなど、言葉では表しにくい知識のことをいいます。
 一方で宣言型知識とは、言葉で表せる知識のことをいいます。英単語や数学の公式などがこれです。
 ノートを取る場合、ある程度は言葉での説明(宣言的知識)が必要となります。イラストは最終的には手を動かして描くもの(=手続型知識)ですが、言葉である程度の理解があると全体的にバランスが取れるかなあ、とか私は考えて「ノートは取るべき」という意見を取り入れたわけです。

 ノートを取る際に私が気をつけたのは、「後々自分が見直しても理解できるようにする」という点です。高校時代の私は、後で見直して理解不能なノートを大量生産する人間だったので、この点は四苦八苦しました。
 これに関しては、私の場合はちょっとした工夫をしてみました。それは「自分だけでなく第三者もノートを見るつもりで書く」という心持ちでノートを取ることでした。
 自分ではない誰かに伝えるつもりでノートを書けば、それなりにまとまったものを書かなければなりません。
 と言うと「ほほう、だったらそのノートを見せてみなされ」と思う人もいるかもしれません。
 実は、すでにそのノートはこのサイトにUPされています。それが「イラストの描き方」のページだったりします。旧サイト名が「文字書きホクスポクス」だったのに「イラストの描き方」なんてコンテンツがあるのはそういう経緯があったのです。(一度掲載を取り下げていたものを2017年1月に再掲載することにしました)

モチベーションを維持する

 さて、やることが決まったら後は黙々と打ち込むだけです。そこで問題となってくるのはモチベーションの維持です。
 モチベーションの維持は、何事に関しても面倒なシロモノです。最初は燃えたぎる闘志をもって始めたことが、段々摩耗していくことはよくある話です。私も結構飽きっぽい人間なのですごく困りました。
 そこで、後々自分の中で混乱しないように以下のことを決めておきました。

三日坊主を繰り返す

 毎日続ける強い意志なんてないなら、最初からそれは諦めてしまえばいいという発想です。「人としてそれはどうなの?」とツッコミが来そうですが、画力向上は会社から与えられたノルマでないので無問題。むしろ、毎日続けられない自分を責めると、余計にモチベーションが磨り減る気がしました。「三日坊主だって何度も繰り返せば習慣である」と開き直りました。

慌てない

 たとえ成長速度が遅くてもやっていればそのうちどうにかなるだろう、と考えることにしたわけです。いささか頼りない考え方かもしれませんが、実は心理学的には理にかなっています。
 レジリエンスという言葉をご存知でしょうか? 「逆境力」とか「精神的回復力」みたいに訳されることもある言葉です。「レジリエンスがある」=「心が折れない」という意味合いで使われます。
 レジリエンスの有無を調べる実験として「けん玉で高度な技を習得してもらう」という課題を被験者に出したものがあります。この実験では実際にけん玉が上手くなったかは関係なく、被験者がどれぐらい粘り強くチャレンジできたかを調べました。
 その結果、長時間心が折れなかった人は些細なことに一喜一憂しなかったり、失敗しても楽観的に物事を考えられるという傾向があることが分かりました。
 要するに、結果を出すことに慌てるなんてことをしなかったわけです。
 ゆえに趣味で画力向上を目指すなら慌てずやるのがいいと私は結論付けたのです。

最後に

 記事のタイトル「画力向上を目指して11ヶ月でしたこと」には2通りの解釈があると思います。「11ヶ月しかかからなかった」と見る場合と、「11ヶ月もかかかった」と見る場合です。
 とはいえ、そこら辺は論じてもしょうがない部分です。11ヶ月という時間は単なる客観的な事実です。
 むしろ本当に大切なのは、自分がその時間をどのように過ごしたかです。過ごした時間が自分の中で豊かである。それだけで、画力向上を目標にした意味はあったのかなあとか思います。

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