スキーマと認知の歪み

 物語において、登場人物の落ち込むシーンを書くことや、ヤンデレキャラのようにどこかしら心が病んでいるキャラを書くことがあります。
 この記事では、人が落ち込む場合に何を考えているのかや、どんな考え方をする人物が落ち込みやすいかを「スキーマ」と「認知の歪み」という概念を使って考察します。

スキーマ

 スキーマとは認知心理学で使われる概念で、個人が外界について知覚・認知するための枠組みをいいます。
 スキーマが違えば、例え同じ出来事に遭遇しても考え出される結論は違ってきます。
 例えば、同じくらいの戦闘力を持った人物AとBが、それぞれ同じ敵と遭遇したとします。Aは「自分にはどんな困難も超えていける」というスキーマを持ち、一方でBは「自分は弱い人間だから強敵を倒せるわけがない」というスキーマを持っていたとします。この場合、敵との戦闘力の差が一緒でも、Aの取る行動とBの取る行動は違ってきそうです。
 スキーマは過去の出来事や経験からの学習に基づいてつくられます。過去に何らかのトラウマになる出来事があった場合、行動に不具合を起こすスキーマが形成されます。そして、健全なスキーマが作られなかった場合に生じるのが認知の歪みです。

認知の歪み

 認知の歪みとは、極端なマイナス思考をする認知傾向のことを指します。
 デビッド・D・バーンズが発見し、分類した認知の歪みには、以下の10種類があります。

全か無か思考

 白黒思考とも言います。
 少しの失敗や例外を許さず、極端な結論を出すことをいいます。例えば「テストで100点以外の答案はミスがあるから0点と一緒だ」と考えるなどです。

過度の一般化

 ある特定の事実だけを取り上げて、それがすべての証拠であるように考えることをいいます。例えば「自分は一度戦いから逃げた。だからこれから先もずっと逃げ続けるに違いない」などです。

心のフィルター

 些細な欠点を大げさに捉え、他の全てを無視してしまうことをいいます。例えば、何か作品を作り上げて多くの人に高い評価をもらったのに少数から批判されてそれが頭から離れないなどです。

拡大解釈と過小評価

 自分の短所・失敗を大きく捉え、逆に長所・成功を小さく見積もることをいいます。

感情的決め付け

 その時の感情で出来事や事実を決めつける。例えば「今の自分は不安を感じている。だから今回の作戦は失敗するに違いない」などです。

マイナス化思考

 出来事の否定的な側面のみを見ることをいいます。例えば「今回の作戦は成功したけれど、こんなのは運が良かっただけで本来の自分の実力ならば失敗していた」などです。

結論の飛躍

 現実的な可能性を無視して、否定的な予想をすることをいいます。
 結論の飛躍には以下の2つがあります。
 1つ目は「心の読み過ぎ」です。他者が考えていることを確認もせずに、自分はわかっていると思い込むことをいいます。
 もう1つは「予期の誤り」です。事態が確実に悪くなると決め付けることをいいます。

すべき思考

 自己や他者に対して「~であるべき」「~すべき」という高いレベルの成果を要求することをいいます。

レッテル貼り

 自分や他者に対して否定的なラベリングをすることをいいます。例えば、「自分はどこまでいっても負け犬だ」「自分はどうしょうもないクズだ」などです。

個人化

 自分とは関係のない出来事を、自分のせいだと思い込むことをいいます。例えば「恋人が仕事に失敗したのは自分がしっかり支えてあげられなかったからだ」などです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする