主語と述語

 わかりやすい文章を書く上で、主語をはっきりさせることは大切です。
 次の例文を読んでみてください。

【例文】
①私は明日、ライブに参加します。
②明日は私、ライブに参加します。

 例文①では、主語が私であると容易にわかります。主語である「私」のすぐ後ろに助詞の「は」があるからです。
 では、例文②ではどうしょう。助詞の「は」の前には「明日」という語があります。けれど、よく読めばこの文の主語は「明日」ではないことがわかります(ライブに参加するのは「明日」ではなく「私」です)。
 英語ならば多くの場合、主語が文頭にきます。「名詞+動詞+目的語」という形の文章ならば、最初の名詞が主語なのは一目瞭然です。
 一方で日本語は、最初に主語がくるとは限りません。日本語では文の形よりも、文の意味から主語を判断する場合が多くなります。
 主語を曖昧に書いてしまうと、書いた内容を正確に読者へ伝えることが困難になります。

主語を省略しても通じることもある

 主語が曖昧だと読者に文意を伝えづらくなります。しかし、一文一文、懇切丁寧に主語を書くべきかといえば、そうではありません。
 それどころか逐一主語を書くことによって、くどくなったり、リズムが悪くなったりします。
 主語を書くべきか否かは、意外と難しい問題です。文章を書いたときは、読者の立場に立って書いた文がどう解釈されるかを想像してみることが重要です。

句読点を飛び越える

 次の例文を読んでみてください。

【例文】
①彼は走った。彼は跳んだ。彼は着地した。
②彼は走り、跳び、着地した。

 例文①と②が意味する内容は同じです。
 例文①では、それぞれの動詞に対して、一つ一つ「彼」という主語をつけています。このようにすれば、主語と述語の関係ははっきりします。しかし、読んでいてくどい印象は否めません。
 では例文②を見てみましょう。この文章では主語である「彼」という主語一つに対し、「走る」「跳ぶ」「着地する」という三つの述語が並んでいます。しかし、どの述語も主語が「彼」であると伝わります。
 更に、次の文章を読んでみてください。

【例文】
 吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。なんでも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていたことだけは記憶している。

 冒頭にある「吾輩」という主語は、句点を越えて述語にかかっています。
 つまり、

 吾輩は――
  →猫である。
  →名前はまだない。
  →どこで生れたかとんと見当がつかぬ。
  →なんでも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていたことだけは記憶している。

 ということです。
 主語は句点や読点を飛び越えることができます。不要な主語を省略することで、文章をすっきりとまとまったものにすることも可能なのです。

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