人を感動させる要素

 人はどんなときに感動するか? これは物語を書く上では至上の課題になると思います。
 人に感動をもたらすための絶対的な基準などないでしょう。
 しかし、なにも指針がない状態から感動を生み出すのは雲を掴むような話です。なので、人が感動するであろう、いくつかの要素を取り上げ、考察していきます。
 人が感動する要素には、例えば以下のものがあります。

  • 情熱(目標)
  • 類(関係)
  • 人間愛(ヒューマニズム)
  • 知恵(知的活動)

情熱(目標)

 例えば、ケガや病気などの事情で選手生命を絶たれたアスリートの物語を描くとします。この場合、感動的な話にしようとするならば、そのアスリートが様々な困難を乗り越えて選手として復帰する過程や、あるいは自分の経験・技術を誰かに授け何かの大会の優勝を目指すといったなどが考えられます。
 どちらの場合も、登場するアスリートには目標が存在します。前者ならば選手としての復帰という目標、後者ならば自分の培ったものの継承という目標です。
 人間が目標を持って、それに立ち向かう姿は多くの人に感動を与えます。それまでパッとしなかった登場人物が、目標(過去のトラウマを克服しようとする、迫り来る敵から少女を守ろうとする、など)を持った途端に輝き出すのはライトノベルではよくあるパターンです。
 困難を乗り越え、目標を達成するという情熱は感動を生み出す基本的な要素なのです。

類(関係)

 人は社会的な動物です。一人で生きることはできません。そのため、他社や社会、あるいは自然とつながりたいと願うのは本能的な欲求なのかもしれません。
 物語においては、それまでバラバラだったり対立していたものが一つにまとまると感動を生み出す傾向にあります。
 例えば、災害によって崩壊してしまった街を復興するために、人々が一丸となる。あるいは、他者を拒絶していた少年が仲間の温かさに触れ心を開くなどといったシチュエーションは上手く描けば感動的な物語になりそうです。
 ただし、単に人が複数人集合しただけでは本当の意味での関係とは言えませんし、感動的にシーンにはなりません。退屈しのぎにコンビニの前にたむろしている若者を見ても感動などしないでしょう?
 ここで大切になるのは、前述したような目標の有無なのです。何かの目標があってチームや集団が一丸となる姿は、人の心を動かします。類(関係)をキーワードに感動を生み出すのには情熱(目的)が必要不可欠なのです。

人間愛(ヒューマニズム)

 人間愛による感動は、類による感動に似ているとも言えますし、逆行しているとも言えます。
 例えば、愛する人のために登場人物が身を粉にするシーンは読み手の心にうったえるものがあります。そうやって絆が深まっていけば感動的なハッピーエンドとなりそうです。
 しかし、物語においては愛する人のために、登場人物がその他すべてを敵に回すというシチュエーションもありえます。それは、愛する人以外との関係を破壊する行為です。では、関係が切れるからといって感動はぶち壊しになるでしょうか? もちろん、書き手の描き方にもよりますが、こういうパターンの場合、それはそれで読者に深い感動を与えても不思議ではありません。
 大切な絆を守るために、あえて茨の道を進む登場人物にヒューマニズムを感じる人は多いはずです。
 登場人物同士の愛や絆を丁寧に描くことは、感動的な物語の創造につながるのです。

知恵(知的活動)

 人は社会的な生き物であると同時に、他の動物よりも考えるという活動に特化した存在です。
 そのため、登場人物が知恵をもって困難を乗り切ろうとする様に心を動かされます。
 例えば、バトル物の物語を想定してみましょう。貧弱な能力しか持たない登場人物と、強大な能力を持った登場人物がいたとします。仮に、強大な能力を持った登場人物が、貧弱な能力しか持たない相手をゴリ押しで倒したとして、感動は生まれるでしょうか? 答えはおそらくノーですよね。
 むしろ、この場合、貧弱な能力しか持たない登場人物が、機転をきかせて強大な能力を持った相手を打倒した方が感動的です。
 もちろん、登場人物を知恵者として描こうとするならば、書き手が相当の知恵者であることが求められます。情熱を持って知恵を振り絞ってください。
強敵の倒し方」についてのまとめました(追記:2015年03月04日)

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