序破急と起承転結

 中編小説や長編小説のストーリーを、細分化することなく一気に作り上げるのは相当な困難を要します。漫然とストーリーを作っていても、全体としてのメリハリがつけにくいですし、ストーリー全体がどれほどの長さになるかも予測しづらくなるでしょう。
 そこで必要となってくるのが、「小さな単位でストーリーを作る」という考え方です。一気に作ろうとするから話がこんがらがるのならば、ストーリーをいくつかのパートに分けた方がスマートです。
 ストーリーを構成する小さな単位には例えば「序破急」や「起承転結」があります。

序破急

 序破急は雅楽や能などで楽曲を構成する際に用いられる言葉です。
 序破急を使うとストーリーを三つのパートに分けることができます。
 ただし、ただ淡々とストーリーを三つに分けても面白い作品にはなりません。
 序破急を使用する場合は、それぞれを「誘引」「期待」「満足」という要素と対応させる必要があります。
「序」は読者を「誘引」するパートです。ストーリーの大まかな設定を提示すると同時に、読者を作品に引き込む出来事を描く必要があります。何のイベントもない平凡な日々を送っているシーンを延々と書いたら、それだけで読者はその作品を読むのをやめてしまうでしょう。
「破」では読者の「期待」をあおります。ストーリーのテンションを上げて、もっと面白いことが起こりそうだと読者の期待を高めましょう。ここでいう面白いこととは、ギャグなどのお笑い要素だけにとどまりません。登場人物に葛藤を抱かせたり、挫折をさせたりして今後どうストーリーがどう展開するのかを読者の想像を膨らませるのです。
「急」では読者に「満足」を与えなければなりません。読者が作品を読み終えたときに、感動や切なさ、爽快感といったを覚えなければ、そのストーリーは失敗だったと言わざるを得ません。

起承転結

 起承転結は、古代中国の詩の構成法が起源となる、ストーリーの基本的なスタイルです。
「起」は物語の導入部です。
「承」は「起」での出来事を更に深め、ストーリーの核となる「転」へつなぐ役目を持ちます。
「転」は物語の核となる部分です。ストーリーの中で一番大きなイベントが生じます。
「結」はストーリーの締めくくりです。「転」で生じたイベントを収束させていきます。
 序破急と同様に、起承転結を使う場合にもメリハリのあるストーリー展開が求められます。

もっと細かく分割する

 ストーリー全体の起承転結が完成したら、次に起承転結それぞれを小さな起承転結に分割するという方法があります。
 つまり、

◎起
◎承
◎転
◎結

 という流れを、

◎起
  →起の起
  →起の承
  →起の転
  →起の結
◎承
  →承の起
  →承の承
  →承の転
  →承の結
◎転
  →転の起
  →転の承
  →転の転
  →転の結
◎結
  →結の起
  →結の承
  →結の転
  →結の結

 というふうに、更に細かなパートにわけます。
 これだけだと抽象的なので、桃太郎を例にとって説明します。
 例えば、桃太郎のストーリー全体を起承転結で分割すると以下の通りです。

◎起:桃太郎がお爺さんとお婆さんに拾われる
◎承:桃太郎が旅に出て仲間を見つける
◎転:鬼ヶ島で鬼と遭遇する
◎結:鬼を倒してハッピーエンド

 そして、起承転結のそれぞれを更に細かく分割します。

◎起:桃太郎がお爺さんとお婆さんに拾われる
 →起の起:お爺さんが山に芝刈りに、お婆さんは川に洗濯へ行く
 →起の承:お婆さんが川で大きな桃を拾ってくる
 →起の転:桃を切ると中から男の子の赤ちゃんが生まれる
 →起の結:二人は赤ちゃんを桃太郎と名づけ育てることにする
◎承:桃太郎が旅に出て仲間を見つける
 →承の起:桃太郎が成長して鬼退治に行くと言い出す
 →承の承:お爺さんとお婆さんが桃太郎を鬼退治の旅に出す
 →承の転:桃太郎がイヌ・サル・キジを仲間にする
 →承の結:桃太郎一行が海にたどり着く
◎転:鬼ヶ島で鬼と遭遇する
 →転の起:桃太郎一行が船で鬼ヶ島に渡る
 →転の承:鬼ヶ島を探索する
 →転の転:鬼と遭遇する
 →転の結:鬼との死闘を開始する
◎結:鬼を倒してハッピーエンド
 →結の起:鬼の強さの前に桃太郎が絶体絶命の危機に陥る
 →結の承:仲間の助けで危機から脱する
 →結の転:鬼を退治する
 →結の結:桃太郎が仲間たちと宝を持って帰還する

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