導入部の大切さ

 導入部は、当然ながら作品の読者が初めに目を通す場所です。大半の読者は、導入部が面白いか否かによって、その作品の続きを読むかどうか判断します。つまり、導入部がつまらない作品は、後々の展開がどれほど刺激的であろうと、人に読まれることはないのです。
 特に小説は、作品の鑑賞者自らが先へ先へとページをめくっていかねばなりません。ただ、ボーッとしていても映像や音声が展開するドラマや映画なの映像作品とは質的に異なる特性を持っています。
 導入部でコケると、その作品全体がコケたのとほぼ同じです。
 導入部をどう描くかは、作品を作る上で細心の注意が必要となります。

最初の一文が第一関門

 作品の導入部で難儀することの一つに、最初の一文に何を書くのかを考えることがあります。
 最初の一文は、その作品の雰囲気を象徴したフレーズが好ましいです。
 例えば、読者の爆笑を狙ったラブコメの最初の一文に「ここは弾薬が飛び飛び交う戦場。硝煙の臭いが辺りを包み、爛れたコンクリートの大地は犠牲者となった人々の血で濡れていた」なんて書こうものなら、作品とのミスマッチもいいところですよね。
 心理学には初頭効果という考え方があります。これは要するに、最初の印象が大事ということです。人間は、最初に目にした情報を元に、次に続く情報を判断していく傾向があるのです。
 小説における最初の一文は、まさに初頭効果が発揮される場所です。最初の一文は、読者を作品に一目惚れさせるくらいの意気込みで書きましょう。

導入部では主人公に関する情報を入れる

 最初の一文が書けたら、次に導入部を書いていきます。
 読者に作品の世界に入り込んでもらえるような魅力的な導入部を目指しましょう。……と口で言うのは簡単ですが、どのようにすれば魅力的な導入部を書けるかは難しい問題です。
 例えば、いきなり戦闘シーンから入る作品もありますし、意味深な詩や予言を冒頭に掲げる作品もあります。あるいは、主人公がミステリアスな人物や事件と遭遇するというのもありでしょう。
 どんな導入部が面白いか、それを一概に言うことは不可能なのでここでは割愛します。
 しかし、面白くない導入部には一定のパターンがあります。
 面白くない導入部の一つ目の例には、延々と設定ばかりが羅列しているというパターンです。読者は小説が登場人物たちのドラマが読みたいのだから、設定が延々と書き連ねられていれば辟易します。
 面白くない小説の二つ目の例は、いつまで経っても主人公が出てこないというパターンがあります。主人公は読者が感情移入するための、いわば読者の分身なのです。そんな主人公がいっこうに登場しないとあっては、読者は当惑せざるを得ません。
 他にも面白くない導入部の類型はたくさんあるでしょう。面白い導入部を書くための秘訣は「もし、自分がその作品を初めて読む読者ならどう思うか?」という想像力をフルに働かせることなのです。

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