伏線を張る

※2015年3月3日(火)加筆修正

 伏線とは後々に明らかになる展開につながる物事や、登場人物の言動のさりげない描写を意味します。
 例えば、作中で衝撃的なオチや急展開を描くとき、事前の伏線がなければ読者は話についていけなくなる恐れがあります。「ご都合主義」とか「超展開」という評価を読者から下される場合だってありえます。そうならないためには、事前に伏線を張っておく必要があります。伏線を張ることにより、一見するとかけ離れた出来事を上手くつなぐことができるのです。
 また、登場人物が何かを推理して結論を導き出すためには、結論を導くための根拠が必要です。そこでも伏線は欠かせません。伏線とはいわばヒントや手がかりなのです。登場人物が、ヒントや手がかりもなく正しい結論にたどり着けたら、それはもはや魔法か超能力です。
 更に、巧みに伏線が張られた作品は、読者がもう一度読み返した際に、驚きや感動を与えることができます。最初に読んだときは気づかなかったけれど改めて読むとオチや真相に繋がるヒントが事前に描かれていた、という感心した経験はありませんか? さりげなく張られた伏線には、再読する読者に新たな発見をもたらすことができるのです。

伏線の効果

 伏線を張る行為には例えば以下のような効果があります。

何かを予感させる

 例えば、最終的に主人公の乗っている船を嵐に巻き込みたいとします。この場合「普段は港に飛んでいる海鳥が姿を見かけない」とか「ベテランの船乗りが風に違和感を抱いた」などの兆候があると、嵐が来る前から読者に緊張感を与えることができます。ある程度、読者に先の展開を予想させる伏線を仕掛けることで超展開と揶揄されるのを回避できます。

忘れていた記憶を思い出す

 伏線を使うと、登場人物が忘れてしまった重要な記憶を蘇らせることもできます。
 例えば、主人公が恋人に何かをプレゼントされたとします。しかし、その後恋人が病死してしまい、そのせいで主人公が自暴自棄な毎日を送っていたとします。もう死んでしまおうかとも思ったときに、押し入れの中にしまいこんでいた恋人からもらったプレゼントを見つけて恋人が死に際に「私の分まで生きて」という台詞を思い出したとします。それにより、主人公が自殺を踏みとどまるかもしれません。

証拠や論拠として使う

 これは推理物のストーリーに必要不可欠なパターンです。何かの証拠がなくては事件を収束させることはできません。また、推理物でなくても何かの証拠や論拠に基づいて行動を決定できると読者に対する説得力が増します。

伏線のフィッシュボーンチャート

 ストーリーをつくる手法の一つに、オチから逆算して必要なエピソードや伏線を用意するというものがあります。
 童話「シンデレラ」を下敷きに、物語における伏線の張り方を考えてみましょう。
 シンデレラの物語は「継母とその連れ子たちにいじめられていた少女が、最終的に王子様と結ばれる話」です。
 ざっくりとまとめると上記の通りですが「継母とその連れ子たちにいじめられていた少女」が「最終的に王子様と結ばれる」までには、様々なエピソードが含まれています。
 いわゆるフラグをいくつも立てたからこそ、シンデレラが王子様と結ばれるという展開が成立します。このフラグこそが物語における伏線です。
 魔法使いの魔法によって変身したシンデレラはかぼちゃの馬車でお城の舞踏会に行きます。そこで王子様に見初められますが、12時の魔法が解ける前にお城から逃げ出します。その際にガラスの靴を落とし、その後王子様がガラスの靴の持ち主を探し、シンデレラが靴の持ち主だとわかり、ハッピーエンドです。
 シンデレラが王子様と結ばれるために重要な伏線(フラグ)として以下のものがあります。
・シンデレラが魔法をかけられる
・シンデレラが王子様に見初められる
・シンデレラがガラスの靴を落としてしまう
 以下の図を見てください。便宜上、これを伏線のフィッシュボーンチャートと呼ぶとします。図では最終的に「シンデレラと王子が結ばれる」というオチに矢印が向かっています。しかし、中央を通る一本の赤い矢印だけでは、物語としては成立しません。そこで、「シンデレラが魔法をかけられる」「王子がシンデレラを見初める」「シンデレラがガラスの靴を落とす」という青い矢印を加えます。これが物語における伏線です。
伏線のフィッシュボーンチャート

 上の図の青い矢印だけでも十分に話としては通じます。ですが、もう少し物語を深めたい場合は青い矢印に更に小さいエピソードを加えます。下の図における緑の矢印がそれです。下の図では私の創作で小さなエピソードを加えてみました。
エピソードの追加

具体的な伏線

 大まかな伏線の張り方についての方策は以上の通りです。次に具体的な伏線について考察していきます。
 具体的な伏線には以下ものなどがあります。

物を伏線に使う

 シンデレラにおけるガラスの靴は物を使った伏線です。シンデレラが落としたガラスの靴が、最終的に彼女と王子様を結びつけるわけです。

台詞を伏線に使う

 例えば推理物のストーリーで、事件で使われた凶器についての情報が一般人には未公開だったとします。そんな中で事件とは無関係なはずの人物が「どうして被害者は銃で撃たれたりしたんですか?」と警察に聞いたとします。この場合、事件と無関係な人間が知りえない「凶器は銃である」ということを知っていることになります。この台詞は、この人物が事件の重要参考人であることを示し、ここから事件解決の糸口になるかもしれません。

行動を伏線に使う

 登場人物の不可解な行動や一見するとさりげない行動も伏線になりえます。例えば「とある人物の金遣いがいきなり派手になった」というものが、「実は宝くじの高額当選者だった」や「とある犯罪に加担していた」などの伏線なっていたなどがそれです。

しるしを伏線に使う

 ここでいうしるしには様々なものがあります。例えば「見かけない模様の刺青が裏社会で恐れられる組織の構成員である証だった」や「バツ字の傷が伝説の人斬りであることを意味していた」などがそれです。

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