強敵の倒し方

 小説(特にライトノベル)では、主要人物が誰かと戦うシチュエーションが多く存在します。戦う敵は得てして強大な力を持っています。なぜなら、貧弱な相手との戦いを描いても面白みなど湧かないからです。
 また、バトルだけでなく主人公が困難な状況に立ち向かう場合もあります。例えば「権力者が圧力をかけてきた」や「空中分解寸前の組織をまとめなければならない」などがそれです。
 しかし、強大な敵を鮮やかに倒すのは容易なことではありません。そもそも、簡単に倒せないから強敵なわけですし。
 どうすれば強敵を倒せるか考えていくと私は「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」という言葉を思い出します。これは「敵の力と己の力を客観的に見極めれば、100戦しても危機には陥らない」という意味です。戦いにおける至言ですので、これを使わない手はありません。

SWOT分析で戦況を知る

「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」は、まさに戦いにおける金言です。しかし、抽象的すぎるので、もう少し深く掘り下げないと応用が難しいという面もあります。
 ですので、ここではこの言葉を掘り下げるために経営分析手法の一つであるSWOT分析を応用してみたいと思います。
 SWOTとは以下の頭文字を取ったものです。

  • Strengths(強み)
  • Weaknesses(弱み)
  • Opportunities(機会)
  • Threats(脅威)

 SWOT分析では、下図のように「外的要因/内的要因」と「目標達成に貢献/目標達成の障害」という軸に分けて上記の4つの要因を当てはめます。
SWOT分析

「外的要因」とは、自分の外にある要因をいいます。例えば、置かれた環境や敵の戦力などです。
「内的要因」とは、自分が持っている要因をいいます。例えば、技術力や戦力、あるいは連携の取れる仲間などです。
「目標達成に貢献」とは、戦いに勝つのに積極的に取り入れたい要因です。例えば、自分の長所や敵の弱点などです。
「目標達成の障害」とは、戦いに勝つために対処すべき要因です。例えば、自分の弱点や敵の長所などです。
 これらをもとに分析すべき領域を「機会」「脅威」「強み」「弱み」の4つに分けます。ここでは、これら4つにそれぞれ着目し、戦いや困難に勝利する方法を分類していきます。

機会に着目する

 機会とは、敵対する相手や困難の中にある自分側にとって都合の良いものを指します。
 機会に着目して勝利を収める最たる例には、相手の弱点を突くというものがあるでしょう。どんな強敵やシステムであっても綻びは必ず存在するものです。ただし、最初から相手の弱点が丸分かりでは面白くありません。盛り上がるバトルにするためには「一見すると完全無欠に見える相手に意外な弱点があった」という展開にすると良いでしょう。
 また、機会に着目する別の方法には地の利を生かすというものもあります。これは例えば、赤壁の戦いにおいて風向きが変わることを見越して敵軍を火攻めした孔明を想像すれば理解しやすいかもしれません。

脅威に着目する

 脅威とは、敵対する相手や困難の中にある自分にとって好ましくないものを指します。脅威に着目して勝利を収める場合には、脅威を逆手に取る必要があります。
 脅威を逆手に取る方法の一つは、強大な敵を何らかの手段を使って味方に引き込むことです。「敵にすると恐ろしいが味方にすると頼もしい」というやつです。
 脅威を逆手に取る別の方法として、相手の能力を利用する手もあります。例えば、膨大な熱量を持つビームサーベルが使える敵を海に落として水蒸気爆発を引き起こさせて自滅させるなんてシチュエーションがとあるアニメ作品にありました。

強みに着目する

 強みとは自分が持っている戦いの助けになる側面です。
 自分が持つ武器や能力の意外な使い方を見つけるというのが強みに着目した勝利方法の一つといえます。例えば、電気を操る能力者が電撃で攻撃するのみならず、生体電流を操作し超人的な反射神経を発揮するなどがそれです。
 自分が連携の取れる仲間の力を借りるのも強みを生かす方法と言えそうです。ただしこの場合、一人の人物が異様に強すぎると「もうあいつ一人でいいんじゃないかな」とツッコミが飛んでくるので注意する必要があります。
 また、仲間のピンチに新たな力に目覚めるというのもここに分類されるかもしれません。ドラゴンボールのスーパーサイヤ人みたいなものです。この方法を用いる場合、あまりに唐突にやりすぎると御都合主義のレッテルが貼られかねません。力が覚醒することを予兆する伏線が必要かもしれません。

弱みに着目する

 弱みとは自分が持っている勝利の足を引っ張る要因です。
 弱みに着目した勝利方法の一つにトラウマの克服があります。例えば、過去に火事に巻き込まれたせいで火が怖い人物が、火の海に飛び込んでピンチの仲間を助けるなどのシチュエーションがこれです。
 また、武器や組織の弱点の改善なども弱みに着目した方法と言えるでしょう。イマイチ士気の上がらないチームを鼓舞し勝利に向かって努力するなどがこれにあたります。

勝負の負け方

 ここまで勝負に勝つ方法を見てきましたが、これを応用すれば勝負に負けるパターンもつくれます。
 物語において主人公は一度くらい挫折するものです。
 絶好の機会を逃した、相手の脅威に尻込みしてしまった、自分の強みをいかしきれなかった、自分の弱さを露呈してしまった……。
 もしも主人公の負けを描く場合、そういった人間らしさを描くとよりリアリティが生じます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする